2013年01月16日
デザイン巡り古河 ~まるいボールのなかにはとんがったワザがつまっていた~
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こんにちは!
インターンの竹内です。
今回は1月11日に行われた日卓ボール工場見学の様子をお伝えします。
1月11日
8:30 つくば市を出発
今回向かう日卓古河工場では、2010年度にデザインセレクションに選定された卓球ボール「ラージボール」の製造を見学します。
これが、ラージボール。L44というロゴが目印です。
普通の卓球ボールより、大きく、軽く、造られているラージボールは、子どもや高齢の方でも卓球を楽しめるように、と1988年に日本(しかもここ日卓の技術)で生まれたそうです。
通常のボールより、球速・球威が落ちるので返しやすく、ラリーが続きやすいという特徴があります。
いったいどんな過程でこのボールが作られているのでしょう。
10:00 古河日卓ボール工場へ到着
さて、朱印帳をしっかり持って、古河のデザイン巡り開始!
「おはようございます」とあいさつをしながら通り過ぎていく社員の方はnittakuロゴの入ったジャージを着用。
ジャージが作業着代わりになっているようです。
10:30 工場見学開始
全員がそろったところで工場見学開始。工場内部へ潜入します!
今回は日卓の江川さんの案内で進みます。
漬けこみ
まず、たくさん保存容器が並んだ場所へ到着。
中には円形の薄い板がたくさん入っています。
これが卓球ボールのいちばん最初の姿。
江川さん「ここではアルコールに板を漬けこんでいます。こうして板をやわらかくしてから加工していくんです。このアルコールは度数的には25度くらい、焼酎くらいの度数のアルコールですね。」
ふむふむ、ということはお酒の匂いがするのかな…とにおいを嗅いでみると…ツン と鼻にくる消毒液の香り。
子どものころの注射の記憶がよみがえってくるようなにおいです。
この中で10日間漬け置いてから次の手順に進むのだそうです。
板の変形
次に がしょん がしょん と音を立てながら回る機械のある部屋へ。
蒸気のあがる中、機械を通って先ほどの板がヘルメットのような半球状になっていきます。
江川さん「ここでは、さっきの板を熱湯に通しながら機械のばねを使ってこの形に変形させていきます。湯の温度、ばねの強度で伸び方や伸びたあとの薄さが変わってくるので、毎日それを調整して機械を動かしています。」
ぐるぐるとまわるばねのガイドラインになる部分は少し波打った形になっています。これも、機械の動きを調整して、綺麗な半球になるような工夫なのだそうです。
ばねひとつひとつにも番号が振られていて、調子をみて調整できるように管理されています。
なんと型に板をはめ込む作業は全て手で行われています。
1時間で何百個何千個と作業していく機械に、手作業の苦労があることにびっくり。
しかしここだけではありません…工場の作業にはここからもっと「人の手」がはいってきます。
乾燥
次にたくさん板の並ぶ場所へ向かいます。
ズら…!
黄色いボールの部品たちが所狭しと並べられています。
江川さん「ここでは、水分を飛ばして乾燥させています。 水分が残っていると、切削と接着がうまくいかないので、一晩以上放置しています。」
説明する江川さんの横で棚に半球を並べる作業員さん。
手元でカッ カッカッ と小気味よい音をたてながら、あっというまに棚がオレンジ色に染まっていきます。
やってみたい!と並べる作業にトライしてみますが、素材同士が弾きあってなかなかうまくいきません。
「モタモタ…うーんこんなんではノルマ達成に何日かかることやら…」
どんな技をつかっているのか手元を拝見
ほんの数秒、あっという間に並べていく技は一朝一夕で真似できるものではなさそうです。
切削
次に案内されたのは、部品の不要な部分を削る作業場所。
きらりと背中に光るNittakuマーク。従業員さん、シルバーカラーのジャージを着こなしています。
手元でくるくると回転する機械にパーツを押しあてて丁寧に、素早く、カットしています。
機械にたよった作業というよりも、力加減・機械を当てる場所を間違えては綺麗な形にできないのでは…というくらい「手の感覚」で作業しているように見えます。
厚さを測って揃える
作業場の隣にはゲジゲジみたいにたくさん足がのびた不思議な機械。
江川さん「ここで一枚一枚の厚みを計測して、同じものだけを揃えていきます。組み合わせる物同士の重さや厚みが変わると、ボールの重心が中心からズレてしまいますから、ここで最初に調整をしておくんです。」
センサーが2種類あるため、左右のセンサー別でもしっかりと分けてAラインはAライン同士で接合するそうです。
江川さん「何十年も使い続けている、なかなか年代物の機械なんですよ。」
ふと壁を見ると「毎朝必ずセンサーの先端を掃除すること。」という言葉が。なるほど、丁寧に機械や道具を扱っている姿勢が伺えます。
計測済みのパーツを入れるための木箱も角がとれた味のある風貌。東京から古河に工場が移動する前から、ずっとこの木箱が使われているそうです。
それにしても、なぜこの木箱を使っているんでしょう?
江川さん「次の場所に行ったら、わかりますよ。この大きさがちょうど良いんです。」
溶着
次の作業場へ行くと、先ほどの木箱が、作業中の台に綺麗に納まっています。
ああ!なるほど、ここで作業するのにちょうどいいサイズなんだ。さっきの言葉に、納得。
ここでは、二つの半球をしっかりと溶着していきます。
上段で、半球の片側の円周を小さく縮ませて、二つが噛み合うように加工し、
手作業で合わせ、下段に移して接着剤を添付して瑶着する仕組みになっています。
にょきにょき、と生み出されていく卓球ボール達は
くるくるところがって次の部屋へとつながるパイプへ吸い込まれていきます。
江川さん「片側を変形させるためのリング状の型も、ボールのサイズや、その日の調子によって変わりますから、これもまた、大きさを少しずつ調整してるんです。」
棚にあるリングのサイズは0.05mm単位で変化しています。目に見えるかどうか、わからないぐらいの変化をどうやって見分けているのでしょう。もう長年の勘みたいなものをそれぞれが、持っているのでしょうか。
「うーむ、これは真似しようとしてもそう簡単には出来ないだろうなあ。」
乾燥
次の肯定は乾燥。部屋の中は接着剤の香りがむわっと広がります。
パイプを通ってやってきたボール達がネットに入って保管されています。
江川さん「3ヶ月以上ボールを乾燥させています。接着剤の乾燥と同時に、成分を飛ばすためにこれだけ寝かせておく必要があるんです。」
次の行程に進むまでこんなに放置する段階があるなんて…最初の漬けこみといい、「素材を寝かせる期間」が多いことに驚きます。
洗浄
一度表面に着いた汚れをおとしてから次の行程に行くのだそうですが…この洗浄機械の動きが面白いのです
しばらく水で洗い流されていると思ったら
ガコンッ!と大きな音と同時に、遠心力でボール達が外側へ。
江川さん「こうして上のダクトを利用して、軽く風を当てながら乾燥させてるんですよ。」
凹凸を整える
洗浄を済ませた卓球ボールは表面の噛み合った部分を綺麗に均すための行程へ。
真鍮製の丸い型に卓球ボールを一つずつ詰め込み
220℃のオーブンの中を通して、高温で膨張させ、型にあわせて滑らかな表面にしていきます。写真は出口で、冷却している様子。
手に持つと、少し重みのあるしっかりとした型。
江川さん「よく見るとこの型に小さな穴が数個あいていますよね。これが膨張の時の空気穴として機能してるんですよ。型にこれだけ小さい穴を空けるのにも結構な技術が使われていますよ。」
綺麗に型にはめられていないとボールに入る痕がずれてしまうので、いったんここで目視確認をしてから、次の作業へ…。要所要所でしっかりとした「確認」が大切にされています。
軽量・研磨
形を整えたボール達、今度は軽量する機械へ。ここで、既定の重さになっているかどうかのチェックをするそうです。
目安より重いものは、目安時間だけ研磨用の機械にかけることになります。
この研磨用の機械に、研磨剤と卓球ボールを入れて、研磨して行きます。
江川さん「研磨も、やりすぎると重さが軽くなってしまって、『セカンドボール』になってしまいます。削りすぎないように、研磨をかけていくことが重要なんです。0.01グラムほど重めにして、もう一度調整をするとちょうど良いものが出来てきます。」
巡り隊「今の、『セカンドボール』ってなんのことなのですか?」
江川さん「卓球ボールの公認球ではないものをそう呼んでいます。卓球をやっている方はご存じでしょうが、卓球ボールにはその質によってランクがあるんです。国際基準をクリアしたものには『3スター』が押されていて、公式試合などで使われています。重量が規定に前後してしまうと、『3スター』としてではなく練習用のボールとして販売することになるんです。」
調整・洗浄作業を丹念にくりかえして、最後のチェックへとボール達は旅立っていきます。
重心の検査・目視のチェック
Nittakuマークの段ボールが山積みの部屋を通って、次はなにかな…と、奥へ進みます。
くるくると、卓球ボールがながれるように転がされている機械を発見。
江川さん「ここで、卓球ボールを転がして重心が中心にきているかをチェックしていきます。綺麗なものはまっすぐ手前の穴に落下してきますが、左右のバランスが悪いと、途中で落ちるようになってるんです。」
重量だけでなく、この重心のチェックを通って初めて『3スター』になれるのだとか。うーん、卓球ボールの世界はどうやらとても、厳しいようです。
それだけでなく、目視のチェックも。接着がうまく出来ているか、ゴミや汚れが付いていないか、という細かい部分の確認は、やっぱり人の目、人の手が一番信頼できます。
江川さん「こういった過程を経て、『3スター』になるボールは一部の製品に限られてきます。」
スタンプ・箱詰め
出来上がったボール達に、きりっとひかるNittakuマークがスタンプされ
綺麗に箱詰めされて作業は終了。ここから、全国の卓球プレーヤーにボールが届くのです!
なんだかすごいものを見せていただいたような気がする…。
最後に、なんとNittakuマークのスタンプを(しかも2種類)、朱印帳に押してもらって
Nittakuのハンドタオルに、3スターのラージボール(なんとボール入れ付き)をいただいて、解散。
さいごまで丁寧に工場案内をしていただいて、とても楽しい見学でした。
15:00 ちょっぴり、古河の街歩き
時間に余裕があったので、ぶらりと古河の街を軽く散策することもできました。
ひとつひとつの行程に、しっかりと人の手と目、細やかな気遣いが入った工場。
小学校のころに見学した工場はこんなに人が関わっていただろうかと思い返しても、なかなかこんな場所はなかったように思います。
笠間工房巡りのとき久野陶園さんで「『職人』という言葉は昔の分業時代に使われていたけど、いまではもうそういうふうには呼ばない。」というお話を聴きました。今回の見学で、一朝一夕では身につかないだろう技を持って作業に向かう古河工場の社員さん達の姿はまさにその『職人』という言葉にしっくりと合うものだと感じました。
背中に「Nittaku」の文字を背負った職人たちの手で、日卓の技術・ブランドはしっかりと支えられているようです。
こんにちは!
インターンの竹内です。
今回は1月11日に行われた日卓ボール工場見学の様子をお伝えします。
1月11日
8:30 つくば市を出発
今回向かう日卓古河工場では、2010年度にデザインセレクションに選定された卓球ボール「ラージボール」の製造を見学します。
これが、ラージボール。L44というロゴが目印です。
普通の卓球ボールより、大きく、軽く、造られているラージボールは、子どもや高齢の方でも卓球を楽しめるように、と1988年に日本(しかもここ日卓の技術)で生まれたそうです。
通常のボールより、球速・球威が落ちるので返しやすく、ラリーが続きやすいという特徴があります。
いったいどんな過程でこのボールが作られているのでしょう。
10:00 古河日卓ボール工場へ到着
さて、朱印帳をしっかり持って、古河のデザイン巡り開始!
「おはようございます」とあいさつをしながら通り過ぎていく社員の方はnittakuロゴの入ったジャージを着用。
ジャージが作業着代わりになっているようです。
10:30 工場見学開始
全員がそろったところで工場見学開始。工場内部へ潜入します!
今回は日卓の江川さんの案内で進みます。
漬けこみ
まず、たくさん保存容器が並んだ場所へ到着。
中には円形の薄い板がたくさん入っています。
これが卓球ボールのいちばん最初の姿。
江川さん「ここではアルコールに板を漬けこんでいます。こうして板をやわらかくしてから加工していくんです。このアルコールは度数的には25度くらい、焼酎くらいの度数のアルコールですね。」
ふむふむ、ということはお酒の匂いがするのかな…とにおいを嗅いでみると…ツン と鼻にくる消毒液の香り。
子どものころの注射の記憶がよみがえってくるようなにおいです。
この中で10日間漬け置いてから次の手順に進むのだそうです。
板の変形
次に がしょん がしょん と音を立てながら回る機械のある部屋へ。
蒸気のあがる中、機械を通って先ほどの板がヘルメットのような半球状になっていきます。
江川さん「ここでは、さっきの板を熱湯に通しながら機械のばねを使ってこの形に変形させていきます。湯の温度、ばねの強度で伸び方や伸びたあとの薄さが変わってくるので、毎日それを調整して機械を動かしています。」
ぐるぐるとまわるばねのガイドラインになる部分は少し波打った形になっています。これも、機械の動きを調整して、綺麗な半球になるような工夫なのだそうです。
ばねひとつひとつにも番号が振られていて、調子をみて調整できるように管理されています。
なんと型に板をはめ込む作業は全て手で行われています。
1時間で何百個何千個と作業していく機械に、手作業の苦労があることにびっくり。
しかしここだけではありません…工場の作業にはここからもっと「人の手」がはいってきます。
乾燥
次にたくさん板の並ぶ場所へ向かいます。
ズら…!
黄色いボールの部品たちが所狭しと並べられています。
江川さん「ここでは、水分を飛ばして乾燥させています。 水分が残っていると、切削と接着がうまくいかないので、一晩以上放置しています。」
説明する江川さんの横で棚に半球を並べる作業員さん。
手元でカッ カッカッ と小気味よい音をたてながら、あっというまに棚がオレンジ色に染まっていきます。
やってみたい!と並べる作業にトライしてみますが、素材同士が弾きあってなかなかうまくいきません。
「モタモタ…うーんこんなんではノルマ達成に何日かかることやら…」
どんな技をつかっているのか手元を拝見
ほんの数秒、あっという間に並べていく技は一朝一夕で真似できるものではなさそうです。
切削
次に案内されたのは、部品の不要な部分を削る作業場所。
きらりと背中に光るNittakuマーク。従業員さん、シルバーカラーのジャージを着こなしています。
手元でくるくると回転する機械にパーツを押しあてて丁寧に、素早く、カットしています。
機械にたよった作業というよりも、力加減・機械を当てる場所を間違えては綺麗な形にできないのでは…というくらい「手の感覚」で作業しているように見えます。
厚さを測って揃える
作業場の隣にはゲジゲジみたいにたくさん足がのびた不思議な機械。
江川さん「ここで一枚一枚の厚みを計測して、同じものだけを揃えていきます。組み合わせる物同士の重さや厚みが変わると、ボールの重心が中心からズレてしまいますから、ここで最初に調整をしておくんです。」
センサーが2種類あるため、左右のセンサー別でもしっかりと分けてAラインはAライン同士で接合するそうです。
江川さん「何十年も使い続けている、なかなか年代物の機械なんですよ。」
ふと壁を見ると「毎朝必ずセンサーの先端を掃除すること。」という言葉が。なるほど、丁寧に機械や道具を扱っている姿勢が伺えます。
計測済みのパーツを入れるための木箱も角がとれた味のある風貌。東京から古河に工場が移動する前から、ずっとこの木箱が使われているそうです。
それにしても、なぜこの木箱を使っているんでしょう?
江川さん「次の場所に行ったら、わかりますよ。この大きさがちょうど良いんです。」
溶着
次の作業場へ行くと、先ほどの木箱が、作業中の台に綺麗に納まっています。
ああ!なるほど、ここで作業するのにちょうどいいサイズなんだ。さっきの言葉に、納得。
ここでは、二つの半球をしっかりと溶着していきます。
上段で、半球の片側の円周を小さく縮ませて、二つが噛み合うように加工し、
手作業で合わせ、下段に移して接着剤を添付して瑶着する仕組みになっています。
にょきにょき、と生み出されていく卓球ボール達は
くるくるところがって次の部屋へとつながるパイプへ吸い込まれていきます。
江川さん「片側を変形させるためのリング状の型も、ボールのサイズや、その日の調子によって変わりますから、これもまた、大きさを少しずつ調整してるんです。」
棚にあるリングのサイズは0.05mm単位で変化しています。目に見えるかどうか、わからないぐらいの変化をどうやって見分けているのでしょう。もう長年の勘みたいなものをそれぞれが、持っているのでしょうか。
「うーむ、これは真似しようとしてもそう簡単には出来ないだろうなあ。」
乾燥
次の肯定は乾燥。部屋の中は接着剤の香りがむわっと広がります。
パイプを通ってやってきたボール達がネットに入って保管されています。
江川さん「3ヶ月以上ボールを乾燥させています。接着剤の乾燥と同時に、成分を飛ばすためにこれだけ寝かせておく必要があるんです。」
次の行程に進むまでこんなに放置する段階があるなんて…最初の漬けこみといい、「素材を寝かせる期間」が多いことに驚きます。
洗浄
一度表面に着いた汚れをおとしてから次の行程に行くのだそうですが…この洗浄機械の動きが面白いのです
しばらく水で洗い流されていると思ったら
ガコンッ!と大きな音と同時に、遠心力でボール達が外側へ。
江川さん「こうして上のダクトを利用して、軽く風を当てながら乾燥させてるんですよ。」
凹凸を整える
洗浄を済ませた卓球ボールは表面の噛み合った部分を綺麗に均すための行程へ。
真鍮製の丸い型に卓球ボールを一つずつ詰め込み
220℃のオーブンの中を通して、高温で膨張させ、型にあわせて滑らかな表面にしていきます。写真は出口で、冷却している様子。
手に持つと、少し重みのあるしっかりとした型。
江川さん「よく見るとこの型に小さな穴が数個あいていますよね。これが膨張の時の空気穴として機能してるんですよ。型にこれだけ小さい穴を空けるのにも結構な技術が使われていますよ。」
綺麗に型にはめられていないとボールに入る痕がずれてしまうので、いったんここで目視確認をしてから、次の作業へ…。要所要所でしっかりとした「確認」が大切にされています。
軽量・研磨
形を整えたボール達、今度は軽量する機械へ。ここで、既定の重さになっているかどうかのチェックをするそうです。
目安より重いものは、目安時間だけ研磨用の機械にかけることになります。
この研磨用の機械に、研磨剤と卓球ボールを入れて、研磨して行きます。
江川さん「研磨も、やりすぎると重さが軽くなってしまって、『セカンドボール』になってしまいます。削りすぎないように、研磨をかけていくことが重要なんです。0.01グラムほど重めにして、もう一度調整をするとちょうど良いものが出来てきます。」
巡り隊「今の、『セカンドボール』ってなんのことなのですか?」
江川さん「卓球ボールの公認球ではないものをそう呼んでいます。卓球をやっている方はご存じでしょうが、卓球ボールにはその質によってランクがあるんです。国際基準をクリアしたものには『3スター』が押されていて、公式試合などで使われています。重量が規定に前後してしまうと、『3スター』としてではなく練習用のボールとして販売することになるんです。」
調整・洗浄作業を丹念にくりかえして、最後のチェックへとボール達は旅立っていきます。
重心の検査・目視のチェック
Nittakuマークの段ボールが山積みの部屋を通って、次はなにかな…と、奥へ進みます。
くるくると、卓球ボールがながれるように転がされている機械を発見。
江川さん「ここで、卓球ボールを転がして重心が中心にきているかをチェックしていきます。綺麗なものはまっすぐ手前の穴に落下してきますが、左右のバランスが悪いと、途中で落ちるようになってるんです。」
重量だけでなく、この重心のチェックを通って初めて『3スター』になれるのだとか。うーん、卓球ボールの世界はどうやらとても、厳しいようです。
それだけでなく、目視のチェックも。接着がうまく出来ているか、ゴミや汚れが付いていないか、という細かい部分の確認は、やっぱり人の目、人の手が一番信頼できます。
江川さん「こういった過程を経て、『3スター』になるボールは一部の製品に限られてきます。」
スタンプ・箱詰め
出来上がったボール達に、きりっとひかるNittakuマークがスタンプされ
綺麗に箱詰めされて作業は終了。ここから、全国の卓球プレーヤーにボールが届くのです!
なんだかすごいものを見せていただいたような気がする…。
最後に、なんとNittakuマークのスタンプを(しかも2種類)、朱印帳に押してもらって
Nittakuのハンドタオルに、3スターのラージボール(なんとボール入れ付き)をいただいて、解散。
さいごまで丁寧に工場案内をしていただいて、とても楽しい見学でした。
12:30 古河 お休み処坂長でお昼ご飯
古河の街並みを通りぬけて、今日はもう一か所、巡りスポットを訪ねます。
ここではかつて蘭学がさかんであった古河にちなんで、オランダ料理の提供もしているそうで
私はパンケーキの上に具材がのっかったパンネクックをいただきました。
古河の街歩きの第一歩に、立ち寄って情報収集するのに、おすすめです。
最後に、ハンコも忘れずに。
15:00 ちょっぴり、古河の街歩き
時間に余裕があったので、ぶらりと古河の街を軽く散策することもできました。
15:40 お土産さがし。
最後に、坂長で教えてもらったお菓子屋さん桂月堂で、雪の結晶の形のお菓子「雪華」を購入。
上品な味わいと、パッケージやお菓子のデザインが魅力的。
手軽で日持ちもするので古河の素敵なお土産になりそうです。
上品な味わいと、パッケージやお菓子のデザインが魅力的。
手軽で日持ちもするので古河の素敵なお土産になりそうです。
16:00 古河巡り終了
今回は夕暮れ前に古河を出発することに。
帰り道、筑波山を眺めながら今日一日を思い出します。
ひとつひとつの行程に、しっかりと人の手と目、細やかな気遣いが入った工場。
小学校のころに見学した工場はこんなに人が関わっていただろうかと思い返しても、なかなかこんな場所はなかったように思います。
笠間工房巡りのとき久野陶園さんで「『職人』という言葉は昔の分業時代に使われていたけど、いまではもうそういうふうには呼ばない。」というお話を聴きました。今回の見学で、一朝一夕では身につかないだろう技を持って作業に向かう古河工場の社員さん達の姿はまさにその『職人』という言葉にしっくりと合うものだと感じました。
背中に「Nittaku」の文字を背負った職人たちの手で、日卓の技術・ブランドはしっかりと支えられているようです。