2012年11月29日
工房の扉から、新しい世界と出会う。 笠間工房巡り とみーチーム【前編】
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こんにちは!インターン生の竹内です。
今回は内さんと2チームに分かれて11月17日(土)に行われた工房巡りの様子をお伝えしていきたいと思います。
工房から、まだ知らない新しい世界と出会うための旅、詳しいレポートで紹介していきたいと思います。
まずは一番気になっていた、登り窯をみせていただきます。
ここでは今は使われてはいませんが、200年以上昔から残っている14房つらなる大きな登り窯をみることができます。一番上、奥のほうの部屋は崩れてしまっています。
こんにちは!インターン生の竹内です。
今回は内さんと2チームに分かれて11月17日(土)に行われた工房巡りの様子をお伝えしていきたいと思います。
工房から、まだ知らない新しい世界と出会うための旅、詳しいレポートで紹介していきたいと思います。
8:20 つくば市を出発
今日はついに工房巡りの日!残念なことに空はあいにくの曇り空。いったいどんな一日になるのか…。そわそわしながら出発です!
今日のメンバー
筑波大学比較文化学類4年 ござさん
芸術専門学群3年ビジュアルデザイン なかしー
芸術専門学群3年洋画 とみー
9:10 笠間陶芸美術館へ到着
高速にのって、笠間へ!1時間弱で笠間に到着します。つくばからだと、意外に近いものですね!
まず、陶芸美術館で、今年のデザインセレクションとKasama Art Portの展示を見ます。
こちらが、今回の工房巡りの基となる作品Kasama Art Portです。
きっかけは、3.11での登り窯の被災。
その登り窯をどうにか修復したいと集まった人たちによって、Save Kasama Potters というチャリティー企画で復興資金を集め、今年の春復興を遂げました。この作品では復興した登り窯で焼かれた陶板を使っています。そして並んでいる陶板1枚1枚が笠間でものづくりにたずさわる人たちが作ったものです。
「現代の笠間は、個人で作家活動をする人が多く、そしてそのルーツがあまり重要視されていない」という問題意識から、「笠間でものづくりをする作家同士がつながること」そして「200年以上前の笠間焼のルーツからこれからの未来へとつながること」ふたつの思いが作品の中にはこめられています。
笠間焼のルーツである、信楽でのアートイベントに出展するなどして、その思いを伝えています。
さて、巡り隊ブースで巡り隊バッヂを身につけて、工房巡りスタート!
10:15 工房巡りスタート!久野陶園へ
10:30 久野陶園到着
笠間でも郊外の道、おそるおそる狭い曲がり道に入っていくと、藁ぶきの屋根が目に入ってきます。普通の家じゃなさそう…と思ったらやはり最初の目的地、久野陶園さん。
陶園の代表である14代目の慶子さんがつくばのお店への納品のため、午前中はいらっしゃらないとのこと、完全にすれ違ってしまいました。
代わりに講師でいらっしゃる原田みどりさんに工房を案内してもらうことに。
まずは一番気になっていた、登り窯をみせていただきます。
ここでは今は使われてはいませんが、200年以上昔から残っている14房つらなる大きな登り窯をみることができます。一番上、奥のほうの部屋は崩れてしまっています。
巡り隊「すごい…歴史を感じますね。」
崩れてしまった窯のレンガ、内壁の色が黒く変色しています。
この登り窯は、周囲のレンガも笠間の土を使って作られているそうです。
そしてこちらが、今年の春に復興を遂げた登り窯。窯は3部屋しかありませんが、直すために古い窯のレンガを使ったりしているそうです。
登り窯ではたくさんの薪を使って、この窯の一番下のところで火を焚いて焼成をしていきます。窯の部屋ごとに、薪の灰の掛かり方が変わるので、作りたいものに合わせて焼成する部屋の位置を考えて配置していくのだとか。
そして焼成する時には、この薪を100把ほど使って火を燃やしていきます。今年の春にこの窯を使った時には全ての部屋を熱して、焼成が終わるまでに3日3晩火を焚き続けたそうです。焼成のあとは、また温度を下げて冷ますのにも同じくらいの日数がかかるので、全ての行程に1週間ほどかかることになります。かつて14個の窯を使って焼成をしていたときは、どれくらいの時間がかかったんでしょう。
最後に案内されたのが、成形のための部屋。数台の轆轤が奥から並んでいます。
土が舞っているのか、少し霞がかった空間が古くからの物により深い味わいをもたせているように思えます。
ここにならぶ轆轤は全て奥にある一つの車輪で動かされています。この車輪から伸びるベルトが、それぞれの轆轤につながる動力を動かしているようです。大きな車輪が頭上にベルトを引き上げているのに圧倒されます。
成形室の手前には、昔ながらの囲炉裏がありました。雨で冷え切った体を温めようと、囲炉裏の周りでちょっと休憩。
石田さん「まだ出来てないけど、食べてみて。」
石田さんにすすめられ、炒られていた落花生をいただくことに。奥では原田さんがお茶を淹れてくれています。
手渡された落花生。炒りたてほやほやで、あったかい。ふかした大豆みたいな味がします。
巡り隊「落花生ってこんな味がするんですか!」
原田さん「私もこんな食べ方は初めてだわ」
石田さん「炒りたてだと茹でた落花生に近い味がするねぇ~」
そういえば、さきほどから石田さんが落花生を混ぜているこの木は、こういった用途の道具なのでしょうか、使いこまれているようですが…。
石田さん「ああ、これはね、昔釉薬を混ぜるために使ってた木でね、混ぜるのに、元の大きさを半分に切って使ってんの。」
巡り隊「これ、道具として使ってたものなんですか!」
うーん、こんなところで昔の道具が再利用されているなんて。
ここで、この陶園で作られている陶気のゆたんぼをみせていただくことに。
濃い茶色の見た目に、なんだか重そうだな…と思って持たせてもらうと
意外に軽くて、持っていてもそんなに苦になりません。陶器は保温性が高いので、冷めにくいそうです。見た目もステンレスのもののような冷たさがないので、たしかに少し温かく感じられます。
この湯たんぽは、この久野陶園の14代目である慶子さんが作られているのだそうです。
巡り隊「そういえばこの陶園で制作なさっている方って、どのくらいいらっしゃるんでしょう?」
原田さん「昔は、40人くらい職人さんがいたみたい、でも、いまでは職人さんって人はいないわね」
石田さん「昔は焼き物の行程によってやる人が決まってたんだ。専門的に成形するひとと、焼成する人と。でも今ではそういう『職人』って感じの人はいない状態。どこもみんなひとりでやっちゃうからね。」
原田さん「器を制作している方はいらっしゃいますよ。慶子さんもそうだし。あとは…陶芸教室の生徒さんが制作したり、その講師として私も出入りさせてもらってます。」
巡り隊「そういう意味ではみなさん『職人』というよりも『作家』って感じなんですかね。」
原田さん「う~ん、そういう表現になるんでしょうかねぇ。14代がいらっしゃったら、もっと詳しいお話できたと思うんですけど、私では難しいわね。」
巡り隊「慶子さんはつくばに品を卸しに行ってるんですよね。つくばで器を扱っているお店があるってことですか?」
石田さん「ああ、そうだよ。前一回行ったけどな、春日…3丁目だっけ?にある、なんとかっていうフレンチのお店で使ってもらってるらしいんだ。」
巡り隊「春日3丁目!…ってことは、もしかして『le-scarecrow』ってお店では?」
石田さん「あー!それそれ!」
少ないヒントからお店を言い当てる巡り隊(春日3丁目在住 ※行ったことはない)
フレンチベースでも、様々な国の料理を組み合わせているお店なのだそうです。こんなところで、つくばと笠間がつながっていた、ということにびっくり。
体もあったまったところで、部屋の奥を見せてもらうことに。
みなさん真剣に作品をつくっています。
外で作業しているこの方は吉澤さん。こちらは轆轤成形のつぼの外側に、釉薬を混ぜた粘土を貼っている様子。この方たちの作品を、つい先日こちらの工房で展示なさっていたようで、そのときの作品も写真で見せていただきました。どこか模様や形が現代的で、着物の柄ではよく聞く『モダン』な雰囲気を感じられます。
各自、ここで陶芸をしている方達からお話を聞くこと1時間強。手捻りで、粘土を伸ばす様子や、鋳込みで作品をつくる方法など、いろんなやり方を見せていただきました。
温かい囲炉裏の火にあたりながら聞く、陶芸のこと、みなさんの身の回りのこと。ただ、授業の中で知識として聞く作り方とは違った温度で、私たちの心に響いてきました。
最後に、今回案内していただいた原田さんと一緒に記念撮影。本当にお世話になりました。
原田さん「次はぜひ何か作りにきてね!」
12:30 かしゃま文化会館到着
すっかり長居をしてしまい、予定の時間よりも30分以上遅れてお昼ご飯を食べに「かしゃま文化会館」へ。
貨車を改装したカフェ兼ギャラリー!かわいい車両の外装に心をくすぐられます。
週末には、おやつや飲み物だけでなく、笠間焼のお弁当箱に入った「かしゃま駅弁」が食べられるそうです。
小さな貨車の中にはふわふわと花弁が浮いています。この時益子の作家小野正穂さんの展示が行われていたようで、よく見るとお店の机の上に置かれている陶器の器も同じく花弁の形を象っています。
とりあえず、「駅弁3つお願いします!」と注文をして、席に座って待つことに。
??「あれ…?その矢印のバッヂ見たことある。もしかして笹目さんのFacebookでモデルになっていた方ですか?」
すでに車内でお弁当を食べていたお客さんに声をかけられました!
巡り隊「あ!はい!写真に撮られてたの私です!」
??「ああ!やっぱり~どこかで見たと思ったの!デザイン巡りをしてるんですか?」
ここですかさず巡り隊紹介フライヤーを見せて巡り隊を紹介します。
巡り隊「私は隊長として巡り隊を回ってます。ニックネームはとみーなんですよ~。」
??「奇遇ですね!私もトミーって呼ばれていますよ!名字が富田なんです。」
なんと、同じ「とみー」というニックネームの方と遭遇!
富田「私、笠間でものづくりをしながら、アルバイトしたりして働いているんです。それで、笠間のデザイナーの笹目さんにも少しお世話になったりしてまして。」
巡り隊「そうなんですか!」
共通の知り合いからFacebookを通して、出会ったとみーとトミー。そんな出会いの場となったかしゃまさんに感謝です。
外からは先ほどよりも強くなった雨の音が聞こえてきます。「まるで、雨の日の電車に座っているみたいだね。」そんなことを言いながらご飯を待ちます。
「お待たせしました~」という声と同時に駅弁が運ばれてきました。
梅の花を模した綺麗なお弁当。その横にはなんとお味噌汁も。
車掌さん「この器をつくった方が、久野陶園の14代目の慶子さんという方なんです。かしゃま文化会館の駅長さんです~。」
巡り隊「そうなんですか!さっき久野陶園さんに伺ってきたところなんです!残念なことに慶子さんとはお会いできなかったんですけど…。」
車掌さん「そうですか~!慶子さんはこのランチョンに書かれている駅長さんです~。この似顔絵、すごくそっくりなんですよ~。」
なんと、たまたま訪れたかしゃまさんで、久野陶園の慶子さんと出会うことができました!
ぱかっとお弁当を開くと、綺麗に詰められたおかずが!美味しそうに写真に収めようと、カメラで真剣に写真を撮っていると…
富田さん「ここのお弁当は、駅弁だけどあったかいから、早く食べたほうが美味しいよ~。」
巡り隊「う…!」
あったかいものは早く食べたい!写真も大事だけど、空腹を満たすことが大事だ!そそくさと箸を取って食べ始めます。
車掌さん「今日は移動のコーヒー屋さんも来てるから、ご飯たべおわったらぜひのぞいてみてね~。」
車掌さんのおすすめもあって、お弁当を食べ終わった後に、コーヒー屋さん花屋台カフェに。目の前でハンドドリップで淹れてもらうコーヒー。小さな車の中から、漂ってくる豆の香りに癒されます。
かしゃまの展示コーナーでこれから行く予定の新田さんの作品を発見。
次の工房も楽しみだな…ずっといたくなる、素敵なカフェにお別れして、新田麻紀さんの鍛冶工房を目指します。
→後編へ続く!